監物建築工業

バリアフリー住宅とは?②

 

バリアフリー住宅とは、将来的に介護を行う予定がある家庭や、

高齢者になっても快適に過ごせる家を求める方に適した住まいです。

前回に引き続き、将来を見据えた快適な住まいづくりを求める方に向けて、

バリアフリー住宅とは何か、またバリアフリー構造を持った住まいづくりのポイントを紹介します。

 

 

リビング

家族が最も長く過ごすスペースであるリビングは、段差をなくすことを徹底しましょう。

高齢者の方の自宅内での転倒事故発生場所を見ると、

庭に次いで「居間・茶の間・リビング」での事故が多くなっています。

そのほとんどが床で滑る、段差や出っ張りにつまずく、

置いてあるものに引っかかるといった転倒によるものです。

このため、リビングは段差のないフラットな床にすることで、

転倒などの事故のリスクを軽減することができます。

また、車いすを使用する方がいれば、テーブルの高さにも配慮しましょう。

テーブルに車いすのまま入れる高さは約70cmが目安とされています。

しかし、車いすのサイズによっては入れないこともあるので、

車いすに合わせて高さの調節ができるテーブルを選ぶと柔軟な対応が可能です。

 

 

キッチン

キッチンでの作業は長時間立ちっぱなしになりやすく、

高齢者や妊婦の方にとってはつらいと感じることがあります。

そのため、使いやすいキッチンの高さとともに、

座ったまま調理ができるようにイスを用意しておくなどの配慮が必要です。

 

 

廊下

車いすで廊下を通るとき、

一方通行だけでも廊下幅として90cm以上は確保しておく必要があります。

さらに廊下で人とすれ違えて、方向転換のために回転できる寸法となると

150cm以上は必要となるので、生活動線を考慮し、廊下の幅を決めるようにしましょう。

移動のために手すりをつけておくと便利ですが、“今は必要ないが将来的に手すりをつけたい”と

考えている場合は、建築段階で壁に手すり用の下地を入れておくと、

必要になった際に手軽に手すりを取りつけることができます。

廊下の電気スイッチも車いすから届きやすいよう低めに設置し、照明の点灯・消灯がしやすい

ワイドスイッチを採用すると車いすを動かしながらでも、スムーズに動作ができます。

 車いす移動の場合は、へこみや傷がつきにくい強度を高めた

床材を使用すると、床を傷つけずに済みます。

 

 

玄関

玄関ドアは、車いすで出入りできるように幅は90cm以上確保しておきましょう。

上がり框(かまち)の段差を低めに設定し、移動だけでなく靴を履いたり

脱いだりできる十分なスペースを用意することも大切です。

また、どうしても段差が生じてしまう場合は、玄関スロープをつけるのもおすすめです。

玄関スロープをつけると、高齢の方のみならず、妊婦の方や子どもの移動にも安心です。

しかし、玄関スロープの取りつけには一定のスペースが必要なので、

家づくりに着手した段階から組み込んでおくか、

玄関ポーチに後づけできる広さをあらかじめ確保しておくようにしましょう。

 

 

建物

室内だけでなく、建物全体のチェックも忘れずに行いましょう。

例えば、2階建て以上の場合は階段の踏み板に滑り止めはあるのか、

また駐車場から住宅までの段差がないことや距離の短さはもちろん、

車いすを使用した場合にも通り抜けできる幅や

スペースが確保されているのかなども確認が必要です。

 

 

バリアフリー住宅は、家族のことを考慮して選ぼう

バリアフリー住宅では、自分だけでなく、

一緒に生活する方の目線になって安心かつ快適に過ごせるのかを判断しましょう。

住む方によって必要とするバリアフリーの機能やポイントは異なります。

その方がどんな機能を求めているのか、

どんな住まいなら安心して暮らせるのかをイメージしながら、

バリアフリー住宅を検討するようにしましょう。