バリアフリー住宅とは、将来的に介護を行う予定がある家庭や、
高齢者になっても快適に過ごせる家を求める方に適した住まいです。
何十年も住み続ける家だからこそ、老後も快適に暮らせる家がいいと考えている方は、
住宅を建築、もしくは購入する前からバリアフリーを意識しておくことが大切です。
そこで今回は、将来を見据えた快適な住まいづくりを求める方に向けて、
バリアフリー住宅とは何か、またバリアフリー構造を持った住まいづくりのポイントを紹介します。
バリアフリー住宅とは
一般的にバリアフリー住宅とは、小さな子どもから高齢者まで、
幅広い世代の方が安心・安全で、快適に生活できることを前提とした住まいのことです。
段差をなくし、廊下に手すりをつけるなど、生活するうえで支障となるものを取り除くとともに
生活動作の補助となる設備を整えることで、日常生活が過ごしやすくなります。
一見、高齢者や障害者の方に特化した住まいづくりのように思えますが、
妊婦の方がつまずかずに済んだり、若者であってもケガや病気で車いすを使わざるを得ない状況が発生した際に
移動しやすかったりなど、その利用価値は幅広く、使いやすいと感じるメリットがたくさんあります。
バリアフリーとユニバーサルデザインの違い
最近ではバリアフリー以外にも、ユニバーサルデザインと呼ばれる住宅も
増えてきていますが、その違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。
バリアフリーとは高齢者や障害者などが社会生活をしていくうえで
障壁(バリア)となるものを除去(フリー)することを指しているのに対し、
ユニバーサルデザインとは、障害の有無、年齢、性別、人種などにかかわらず、
多様な人々が利用しやすいよう、あらかじめ都市や生活環境をデザインする考え方であるということです。
つまり、バリアフリーもユニバーサルデザインも多くの人にとって使いやすく、
安全性の高いものを目指しているという点に関しては同じですが、
ユニバーサルデザインのほうがより対象範囲が広いということが分かります。
バリアフリーな住まい選びのポイント
バリアフリーは住む方の身体的な特徴によっても配慮すべき点が異なります。
あくまで一例として、住宅の場所ごとに気をつけたいポイントについて紹介します。
浴室
浴室は転倒しやすい場所なので、バスタブや床は滑りにくい素材を選び、
つまずき防止のために手すりを設置したり、
出入り口の段差をなくしたりするなど配慮しましょう。
浴槽は40cm以下の高さだとまたぎやすく、スムーズに入浴できるとされています。
また、特に冬季は室内と浴室、浴室内の洗い場と
浴槽などの温度差によりヒートショックを起こす可能性もあります。
ヒートショックの症状とは、血圧の急激な変動がもたらすめまいや失神、不整脈、心筋梗塞などです。
家の中の温度差をなくすこともまた、バリアフリーの一環とされ、
“温度のバリアフリー”と呼ばれています。
また、車いす生活になったときのためにも、
車いすで直接入れるように間口を広くとっておくことをおすすめします。
トイレ
トイレは高齢者になったり、体が思うように動かなくなったりしたときも使いやすいよう、
なるべく寝室のそばに配置して、スペースを広めにとるようにしましょう。
立位と座位の動作が楽な洋式トイレを採用し、
トイレ内には動作がしやすいよう手すりを設置するのもおすすめです。
洗面台
洗面台の高さには注意が必要です。
健康な方が立って使用するのにちょうどいい高さと、
車いすの方が座った状態で使いやすい高さは異なります。
さらに、車いすのまま洗面台に近づけるよう、
洗面台下部の収納スペースを取り払うと、車いすの方でもより使いやすくなります。
また、足が不自由だったり、体力がなかったりする方にとっては、
洗面台の前で立っていることがつらいと感じることもあるので、
洗面台のそばにベンチやイスを設置しておくと安心です。